HALF.
episode.19 (ページ6/7)

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「なんだってこんな娘、連れてこいなんて言うのかしらね」
「さぁな。まぁ、何か考えがあるんじゃねぇのか? あの人なりの考えがさ」

あの人?

俺は新たに浮上した第三者の存在にピクリと目元の筋を緊張させた。
どうやらこの名無し連行計画はその「あの人」っていうヤツからの差し金らしい。
目の前にいる二人は目的もよくわからないままソイツの命令で動いたってところだろうか。

「考えねぇ」

リダが納得いかない口ぶりで呟き、かたわらの木にもたれかかる。

「そりゃあこの間はこの子、ファラを倒して驚いたけど、今日の様子見る限り全然使えなそうじゃない。こんなのいたって足手まといだわ。私の変化の術にもちっとも気づかないで治療なんかしようとしちゃってバッカみたい。ファラを倒せたのもきっとまぐれよ」

耳障りなリダの声に俺はギリッと歯がみした。
なんか無性に腹が立つ。
確かに名無しはバカだ。
今日だって女の変化の術に気付けず、こんなとこにまで連れてこられちまってる体たらく、先日の任務でもコイツのバカさ加減には散々当てられた。
けど。
俺の頭に名無しの姿のいくつかがくっきりとした輪郭で思い浮かぶ。
倒れた女に駆けよって応急処置にあたろうとした名無し。
チョウジに礼を言われてホッと笑った名無し。
そして、自分の疲れた体に鞭打って俺の腕にありったけのチャクラを流し込んだ名無し。
その姿を。



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