HALF.
episode.19 (ページ4/7)

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野原ん中で足を怪我した子グマを治療してやっていた名無し。
膝の上で気持ちよさそうにそれを受けていた子グマ。
黒くてコロンコロンしていて、治療が終わっても名無しの匂いを嗅いでずっと近くを離れようとしなかった。

あの子グマ……。
もしかして、コイツ……?

俺は子グマの前肢をガシッとつかみ、その顔を覗きこんだ。

「お前、あん時の子グマか、オイ?!」

だったらコイツで名無しの匂い、追いかけられっかもしんねぇ!!

俺は子グマの前肢をつかんだまま、その鼻先に歌麻呂根付けを押し付けた。

「頼む! お前の鼻でコイツの臭腺辿ってくれ!!」

俺の思いが通じたんだか、子グマはフングフング歌麻呂根付けの匂いを嗅ぐと、ジタバタと暴れ出した。
捕まえていた前肢を俺が放してやった途端、子グマはタッタカーと走り始め、俺は慌ててその後を追った。
子グマは森の中を奥へ奥へと進んでいく。
どこか確信に満ちて走るその後ろ姿を俺は見失わないように懸命に追いかけた。





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