HALF.
episode.17 (ページ3/4)

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腕をねじ上げそうな俺を前に名無しは激しく及び腰になる。

「ぎゃぁー! おごってくださいー! 隊長のかわいい部下ですよ?!」
「誰がかわいいんだよ?! なめたこと言ってると首絞めんぞ?」
「た、た、隊長、稼ぎ、いいんでしょうが!! ちょっとくらいおごってくれてもいーじゃナイですかぁぁぁ!!」
「キサマ、俺が毎月どんだけ家に生活費入れてると思ってんだ?! 稼ぎの大部分を母ちゃんに持ってかれんだよ!! 奈良家男児の立場の弱さをなめんなよ?! 毎月キツイんだ! 相当キツイんだ!! 働いても働いても儲からないpoor workerなんだよ!!」

思わず俺が日頃の奈良家における経済情勢および力関係のヒエラルキーをありていのまま告発、道端にその鬱憤を撒き散らしたとき、すぐそばから、きゃあっ、と人の悲鳴があがった。
俺と名無しが同時にそちらに目を向ける。
人が倒れていた。
大通りの真ん中で、旅装束の女が荒い息のもと胸を押さえ倒れている。
そばにもう一人、その旅人の連れらしき男が、苦しげに顔をゆがめる女をかかえ、抱き起そうとしていた。
パッと俺の手を振り払って名無しがそばへと走り寄る。

「あ、オイ……」

俺もあわてて後を追った。
女の横にひざまずいた名無しが、

「どーしました?」

いつもと変わらぬどこか緊張感に欠ける口調でたずねると、女を抱きかかえた男が顔をあげ、堰を切ったように話しだした。



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