HALF.
episode.16 (ページ3/4)
「サバミソ、おいしそう」
うめぇーよ。
うめぇーから食ってんだよ。
俺が無言でガツガツ食べていると、突然名無しの箸がのびてきた。
パクッ。
「何すんだよ、名無し!!」
名無しは俺のサバミソを一口頬張って、幸せそうな声を出した。
「んー、おいしい」
「おいしーじゃねぇよ! 何、幸せそうな顔してんだよ! 俺のサバミソ食ってんじゃねぇーよ!!」
「あぁ、もうウッサイなぁ。一口くらい、いーじゃないですか。ほら、コレあげるから」
名無しが俺のご飯の上に黄色いたくあんを一切れ乗せた。
「ふざけんなッ。漬物なら俺の定食にもついてんだよ! 肉よこせ、肉!!」
俺は名無しの生姜焼き定食から豚肉を一枚まるまる箸でつかむと、そのまま自分の口に突っ込んだ。
「ぎゃぁぁ! 何すんの、隊長!! 私の……私の最後の一枚をォォォ!!」
「あーもう、ウルセェーなぁ。一枚くらい、いーだろ。ほら、コレやるから」
俺は、してやったり、とニヤッと笑って、野沢菜漬を肉の乗っかっていた皿に置いてやった。
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