HALF.
episode.15 (ページ5/5)
ほんの少し、それを知りたくなってる自分に戸惑いながら、
「ありがとよ」
俺は治療の礼を言うと、しゃがんでる名無しに向かってズイッと右手を伸ばした。
名無しが口元に笑いをたたえて俺の手をつかむ。
その手を引っぱって立ちあがらせてやると、
「やっぱり。こうゆうときは右手ですよね。隊長、右利きだし」
名無しが納得する様に呟いた。
あぁ、そうか。
コイツ、帰りがけ、立ちあがらせてやるときに、俺が右手から左手に差し出しかえたの見て気付いたのか。
俺が右腕をケガしてるって―――。
そう思ったら、なんでかよくわかんねぇーけど、俺の中で何かがひどくホッとした。
今まで張りつめていたモノがゆるんでいくような、溶けていくような、うまく説明できねぇーけど、俺の背中から重たい何かが一つ取り除かれたようで、俺はひどくホッとしていた。
ふっと、名無しの手が伸びてくる。
俺の頬に触れると、そのままスッと指を走らせ、
「頬の傷も気になってたんス」
名無しはキレイな瞳でニッと笑った。
敵との遭遇時に受けた手裏剣のかすり傷。
それを名無しはそのひと撫ででそっと治してくれた。
to be continued.
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