HALF.
episode.15 (ページ4/5)
「ハイ、これで大丈夫」
優しく響いた声とともに、俺を満たしていた温かさがスゥッと引いていく。
俺はゆっくり目を開けて、腕をそっと動かしてみた。
痛くねぇ。
先程までの痛みがすっかり消えている。
俺は目の前にいる名無しに、自分でも驚くほど穏やかな視線を向けた。
「こんで、私の任務も無事、終了」
そう言って笑った名無しの表情は、さすがにチャクラを使いきった感がある。
コイツ、このために俺を待ってたのか。
病院に行かせりゃ済む話なのに。
わざわざ疲れた体ひきずって。
そうまでして俺のケガを治した名無しに、俺はコイツの引き込まれるような眼を思い出した。
『こんなんでも、私にだって大事なモンくらいあんですよ』
俺は目を伏せると、膝に手を置き立ち上がった。
上から名無しを見おろす。
お前の大事なモンて、何なんだよ?
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