HALF.
episode.13 (ページ2/2)
俺は極力、右手を使わないよう左手だけで男の体を持ち上げると、肩に担ぎあげた。
右手はちょっとするとすぐにズキッと痛みが走る。
イノに治してもらおうかとも思ったが、アイツもアイツで結構な疲労を溜めてるようだ。
ま、里まで我慢したところでたいしたことねぇーし。
俺は三人を振り返った。
「んじゃ、行くぜ?」
チョウジとイノが頷く中、名無しの、ハイ! と真面目に答える姿はなんか妙にわざとらしくて、俺は思わずからかいたくなった。
「ッつぅーか、お前、帰りはいなくなんじゃねぇぞ?」
それを聞いて、名無しがハハッと苦笑して返した。
隊を勝手に離れたり、、俺の命令をまともに聞きやしねぇコイツの身勝手さを許したわけじゃねぇ。
けど。
よくわかんねぇーけど。
チョウジを助けると言い切って戦ったコイツを、俺は100分の1くらい見直していた。
俺たちの居る場所からさほど離れていない木のてっぺんに、男が一人立っていた。
男は、ファラ達と同じ忍服に、ネコのロシアンブルーのようなキレイなグレーの短髪で、顔には面をつけている。
俺らの様子をしばらく見つめた後、ソイツは静かに姿を消した。
そんな奴が俺らのことをみていたなんて、そのとき俺はちっとも気づいていなかった。
to be continued.
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