HALF.
episode.11 (ページ2/3)

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なんだ、あれ……?
噛み砕かれた……種?

俺の疑問に答えるように、名無しはズボンのポケットから赤い小さな木の実を取り出すと、パクッと口に放り込んでガリッと噛み砕いた。

「コレ、特効薬」
「特効薬だと?! 嘘をつくな! このキノコの毒を無毒化できるものなんてナイはずだ!!」
「そのとおり。たしかに毒素そのものを無毒化できる解毒剤はナイ。でも、代わりに、毒で引き起こされた症状を消してくれるモノはある。それが、この実の種に含まれている主成分」
「なにッ……?!」

名無しの言葉に、男が明らかに動揺を見せ始めた。
そんなファラの様子にかまわず、名無しが続ける。

「アンタのキノコは自然界に生息する毒キノコの一種。
その毒は空気中に飛散し、鼻や口から吸い込まれて体内に入ると、神経系に作用して筋肉の収縮を引き起こす。
いわゆる神経毒って呼ばれるヤツ。
この種子内の成分は、その働きを邪魔して筋肉が収縮するのを解消してくれるってわけ。
だから、この種を噛みながら戦ってた私には、アンタのキノコ毒は通用しない」

おわかり? と下から見上げた名無しを、男は泳ぐ視線で懸命に受け止めた。



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