HALF.
episode.11 (ページ1/3)

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俺の声が森に吸い込まれる。
やたら静かな空間が俺らの周りに広がった。
その中で、男が、組んだ両手を名無しに打ちおろし、静止していた。
男の手は名無しにまで達することはなく、名無しの頭のすぐ上でしっかりと押さえられていた。
名無しの、動かないはずの左手によって。

「なっ……?!」

男が驚愕の色を浮かべて名無しを見ると、名無しは顔をあげて、これでもかってくらいニタリと笑った。

「つかまえた」

俺は目の前の情景を、瞬きもできずに見つめていた。

名無しが、動けてる―――。

あまりに信じられない状況に、俺はなぜ名無しが動けているのか不思議に思うことさえ忘れ、ひたすら息を飲んだ。
その耳に、叫ぶようなファラの声が届いた。

「キ…キサマ、どうして動ける?!あれだけキノコの毒素を吸い込んでいたのにッ……!!」

それには答えず、名無しは相変わらずニタニタしながら男に向かってベッと舌を出してみせた。
挑発、ってわけじゃない。
舌の上に何か乗っている。
それを見せたいみたいだ。



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