HALF.
episode.10 (ページ5/5)
自分の目に、ファラと名無しの姿がやたらくっきりと映る。
微動だにしない名無しを前に、男は上機嫌で両手を頭上高く組んだ。
そのまま打ちおろすつもりだ。
させるかッ。
そう思って、また一歩足を踏み出した途端、
ダンッ!!
真横からの予期せぬ衝撃に弾かれて、俺の体が横倒れにズザザザザッと地面の上を滑った。
グ……。
激痛の走る右腕を押さえながら上体を起こす。
近くには、さっきまでイノに意識を奪われていたサグが腰を沈めて立っていた。
コイツの攻撃か!!
けど、今はそんなことより―――。
俺は空気を裂くような勢いで名無しを見た。
―――ッ!!
男の両手が下に向かって落とされた。
頭上高くから名無しめがけ、加速しながら落ちていく。
無理だ、ここからじゃ、もう、助けらんねぇ―――。
「名無しーーー!!!」
俺は、自分の限界という失意の中で、アイツの名前を必死に呼んだ。
to be continued.
(ページ5/5)-42-
←|→ backselect page/181