HALF.
episode.01 (ページ3/4)
健康ランド内をデッドヒートの末、俺は廊下の真ん中でそいつの腕を捕まえ、容赦なく一喝した。
「キサマだろ!! 俺にラケットあてたの! 謝れ!!」
「な、な、なんですか、もう! なんもしてません! なんもしてませんからッ!!」
「ふざけんな! 俺から逃げたじゃねぇーか! それになんだよ、お前の左手に握られてるもんは?! 卓球の球じゃねぇか、コラァァァ!!」
「ぎゃぁぁぁーー」
俺はとっ捕まえたコイツをズルズルと通路脇まで引きずっていき、正座させた。
卵型の輪郭に、黒い瞳が妙に澄んでて印象的な奴。
「なんで逃げたんだ。謝んのが筋ってもんだろーがよ。こっちはラケット、頭にあてられてんだぞ? まわりに星が見えたんだぞ? 痛かったんだ、すげぇ痛かったんだ! 口に入ってた牛乳なんかな、8割噴き出して残りの2割は鼻にまわっちまったよ、バカ!! わかってんのか?! アレ、すげぇ痛ぇんだぞ? 相当クルんだぞ?! お前、そーゆー人の痛みわかれよ! わかるべきだよ!!」
俺はそこで一息つくと、片手に持っていた牛乳を思い出し、一口飲んだ。
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