HALF.
episode.10 (ページ1/5)
俺の相手はサグという男だった。
もう一人の女の忍リダとは、イノがクナイ片手に戦っている。
俺はサグの攻撃をかわしながら周りの様子に目を走らせた。
「ハイィィィーーー!!」
気合いいっぱいに攻め込む名無しの姿が目の端に映る。
攻撃の仕方もホントにムチャクチャな奴だ。
医療忍者のくせに自分の身を守ろうとしない。
相手をめったやたらに攻め続け、それを最大限のガードに利用しているかのようだ。
確かに強い。
致命傷こそ与えられないものの、相手の男は十分名無しに押されている。
でも、その光景にちょっとだけ違和感を覚える。
なんつぅーか、わざと致命傷を与えないように気をつけているような、そんな故意さ。
それを名無しに見た気がした。
まさかな……。
そんなわけねぇーか。
俺は自分の考えを打ち消し、それよりも…と別のことに意識を移す。
名無しの足元で踏みつぶされていくキノコの群生が、俺の目に計り知れない狂気のように映った。
とにかく、名無しが倒れる前にサッサとコイツら潰しちまわねぇーと……。
俺は相手からの蹴りをかわすと、今度はそのまま攻めに転じた。
腕と腕、足と足がぶつかり合う。
俺は男と何度か体を打ち合わせ、
こんなもんでいーだろ。
最後にもう一度、相手に俺の繰り出した拳を払いのけさせると、間合いを取るかのようにスッと後ろにさがって身構えた。
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