HALF.
episode.05 (ページ4/7)
イノが名無しの提案に飛びついた。
まんざらでもない表情で名無しが応じた。
「オホホホ。ようございますよ。見せて存じましょう」
背中からリュックをおろして地面に座り込むと、名無しはその中身を取り出し始めた。
俺もコイツの隣に腰をおろす。
「えーっと。注射器、包帯、テーピング、ゴム手袋……」
他にも消毒用アルコールやらアイスボックスに入った多種多様な薬剤なんかが姿を現した。
イノが感心した声を出す。
「よくそろえてあるわね、スゴイ」
「それとこれも大事……」
名無しが花火みたいな筒状のモノを出した。
「発煙筒」
「発煙筒? そんなもんまで持ってんのかよ」
「そりゃあ、いざってとき里の医療班に来てもらえないと困りますから。場合によっては病院に戻んないとどうにもできないこともあるんですよ。薬剤一つにしたって、ここにあるものだけで全て対処できるわけじゃないし。そのためにも連絡用発煙筒は必須なんス」
「へぇー」
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