HALF.
episode.05 (ページ3/7)
俺は名無しの襟首をつかんで木から引きずり下ろした。
そんな名無しに、草の上に座り込んだイノがたずねる。
「名無子のリュックって何入ってんの? そん中に食べ物ないわけ?」
「あぁ、このリュック?」
地面にムリやりおとしめられた名無しが懲りずに木にしがみつこうとしながら答えた。
「コレには食べ物入ってないんス」
「そぉなんだぁー」
俺が名無しを木から引き剥がして抑え込む姿を眺めながら、イノが呟く。
「でも、ずいぶんいろいろ入ってそうね」
「あ、もしかして。ゲハッ」
俺の腕に羽交い絞めにされた状態で、名無しがイノを見上げた。
「リュックん…グォッ……隊長、ぐ、苦゛じい゛……ロ、ロープ……ロープッ!」
「あ、ヤベ、力入れすぎた」
俺が力を緩めて解放してやると、名無しが乱れる息を整えながらイノに向かってたずねた。
「…イノちゃん、リュックん中、見たいとか?」
「見たい! 見たい!!」
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