HALF.
episode.43 (ページ4/4)
「そんなに名無子が心配?」
俺の呼吸が止まりそうになって、それを誤魔化すように急いで口を開く。
「は? 何言ってんだよ、意味わかんねぇー」
イノが俺に視線を注いだまま黙り込んだ。
女ってのはこーゆーことになるとえらく鋭いことを言う。
正直心の中で閉口していた俺に、
「それなら、いーけど」
イノはそう呟いて、ようやく俺から他の方向へと視線を移した。
つられて俺も視線を流し、イノが瞳を向けたのと同じ場所で目を止める。
そこで俺はグッと腹に重い衝撃を受けた気がした。
イノが見つめたのは――チョウジの姿だった。
そうだ、チョウジ……。
チョウジが俺らの眼差しに気づいて首を傾げた。
いつだって誰よりお人よしのコイツ。
ダメだ、俺……。
名無子にどんな想いを抱こうが、俺はこれ以上名無子を気にかけるわけにはいかねぇんだ――。
to be continued.
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