HALF.
episode.43 (ページ2/4)

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その言葉通り、名無子が任務に顔を出すことはなくなってずっと代わりの医療忍者がとっかえひっかえ使わされた。
どの医療忍者も立派なもんで、名無子みたく隊の規律を乱すような奴は一人もいねぇーし、医療忍術の腕だって皆たいしたもんだった。
たいしたもんだけど、でも俺には納得がいかねぇーんだ。
誰が一緒に任務にあたってくれたって、名無子並みの安堵感を感じることは一度もない。
それにアイツがちょっかい出して騒がしかった俺のまわりがやけに静かで、俺は変な寂しさを感じていた。
どんだけ無茶苦茶やっててもどんだけバカやってても、いつだって誰より俺のケガを見抜いて治してくれて、名無子はその手で俺の命を守ってくれる。
どんなことしてでもアイツは俺の命を助けてくれるって思わされる。
いつの間にかそんな名無子に俺は自分の命を預けるようになっていて、それがひどく心地よかったんだ。
隊長としてみんなの命を背負う俺はいつも気ィ張って、その背中が重くって、それでも一人で必死にしょいこんできた。
けど、お前が現れて、俺は初めてその重みを軽くすることができたんだ。
誰にも預けられなかった自分の命さえ預けることができた。

なぁ、名無子。
お前が俺と一緒にみんなの命守ろうとしてくれるから、だから俺はこの背にかかる重みを半分にすることができたんだよ。
お前が医療忍者という立場で俺の重みを半分預かってくれてるから――。

『最近はその重荷が少し減ったっていうか』

いつだったか後輩のイチヤに言われた声が聞こえる。
本当にその通りだ。
言われたあの時にはちゃんとわかっちゃいなかった。
だけど、ようやく気づいたよ。
いろんな医療忍者と任務に就いて俺はそのことにようやく気付いたんだ。






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