HALF.
episode.42 (ページ3/3)
『私にだって大事なモンくらいあんですよ』
お前が言ってた言葉の意味、ようやく俺にも理解できる。
お前にとって大事なモンて、それはきっと命だ。
お前はきっと自分の目に映った命をすべて守ってやりたいんだ。
俺の腕に自然と力が入って名無しの体をぎゅうっと締めつける。
「隊長……」
そう呼ばれた声に俺は低く答えた。
「隊長じゃねぇーよ」
隊長なんて立派なもん背負ってここにいるわけじゃねぇ。
今ここでこうしてお前のそばにいる俺は、何ものでもない、単なるシカマルっていう一人の男だ。
だから、もう。
「シカマルでいい」
「シカマル……隊長」
名無子がオズオズと俺の名を口にして、最後にやっぱり隊長とつける。
あぁ、いいよ。
それで構わない。
コイツに無理なんかさせたくなくて、名前だけで呼べないことに心で頷く。
名無子がもう一度、小さな声で俺を呼んだ。
「シカマル隊長……」
「ん?」
「……ありがとう」
その声に俺の気持ちが足元から一気に加速しながら上昇する。
理性から解放されるように自分の想いが体中から溢れだし、俺は名無子の首筋に自分の頭をそっと埋めた。
to be continued.
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