HALF.
episode.41 (ページ5/6)
以前、一度来たことのあるチョウジの案内で名無しの住んでる家に辿りつく。
木の葉病院に近いアパートの一室が名無しの住居だった。
その扉を前にチャイムを押した俺たちは顔を見合わせた。
誰も出てこない。
「留守みてぇーだな」
ドアをドンドン叩いても中からは何の反応もない。
人の気配も感じられなくて、チョウジが諦めの表情を見せた。
「誰もいないみたいだね」
アイツ、一体どこに行っちまったんだよ……。
名無し不在のアパートを後にし、チョウジと並んで歩いていた俺はイラッと足元の石ころを蹴った。
そんな俺をチョウジが見つめる。
「名無子、どこに行ったんだろう」
「さぁな」
何も知らないんだ。
俺はアイツのことを。
こんなときにアイツだったらどんなとこに行くのかとか、どんな気持ちでいるのかとか、何一つわからなんだ。
何が好きで、何が嫌いで、何に笑って、何に泣くのか、何ひとつハッキリ知っちゃいない。
アイツはどんなふうに過ごしてきたのか。
何を感じて過ごしてきたのか。
エイシンならそのすべてを知っているんだろーな。
どんな子だったのかも――。
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