HALF.
episode.04 (ページ4/5)
言いすぎかとも思う。
けど、俺の正直な思いであることも間違いない。
俺は名無しから目をそらすと、
「言いたいことはそれだけだ。んじゃ隊に戻んぞ」
そう言って名無しをうながした。
背を向けて歩き出す。
その後ろ姿に、
「隊長」
「なんだよ?」
名無しに呼びかけられて、俺はめんどくさそうに振り向いた。
視線の先で名無しがスッと立ち上がる。
背中にはでっかいリュックを背負い、手には俺が来る前に摘んだのであろう、辺りに生い茂る野草をいっぱいに詰め込んだビニール袋を持っていた。
コグマの消えた林の方を見つめながら、名無しがゆっくり口を開く。
「こんなんでも、私にだって大事なモンくらいあんですよ」
静かなくせに妙に通る声とともに、名無しが俺を見た。
「あぁ、そうかい」
それがなんであろうと俺には関係ねぇーんだよ。
そう思ってなんの関心も覚えず軽く受け流した俺は、次の瞬間、名無しの眼を見て視線をはずせなくなった。
名無しのもともと澄んだ眼がさらにいっそう透明度を増して、俺を見つめいていた。
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