HALF.
Eishin said. (ページ3/3)
忘れたことなんてなかった。
何度となく空を見上げては、どこかでこの空がお前に繋がってるって自分を励ました。
ちゃんと俺はお前に繋がってるって信じてきた。
けど、アレだな。
人ってのはやって失敗するよりも、やらずに失敗するほうがほんと後悔がでかくなる。
俺もあの時、両親の言葉なんて聞かずに力ずくでも名無子を連れ出せばよかった。
こんなに立派にならなくていいから、ずっと泣き虫のまんまでも俺がいつも守ってやって、俺のあとを追いかけてくる名無子でいて欲しかった。
奈良家の隊長さんなんかにお前のこと守らせたくなかった。
俺はただ何の躊躇もなく、お前に一緒に来て欲しかっただけなのに。
名無子。
ずっと俺を支えてきた希望が、なんか一気に砕けた感じがするよ――。
見たかったのはこんな世界じゃない。
欲しかったのはこんな世界じゃない。
希望がないのなら生きてる意味などないだろう?
お前がそばにいないなら、俺に存在価値などありはしない。
でもさ。
そうだな。
怪我した俺をこんな必死に治療してくれる名無子を見れてよかったかな。
俺がここまで生きてきたことも少しは意味があったかもって、そう思えるよ。
なぁ、名無子。
俺、最期にお前とまた会えて、すげぇ嬉しかったんだ――。
名無子のクナイホルダーに手を伸ばす。
俺はつかんだクナイで自分の喉をかき切った。
end.
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