HALF.
Eishin said. (ページ2/3)

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「家族でもないって……名無子だって家族の一員だろ?! 小さいころからずっと一緒で家族みたいなもんじゃないか! それに……」

そこで言葉を切ると、俺は勢いづけて続く言葉を吐き出した。

「名無子のことはそのうち俺が嫁にもらう!! そしたら家族だろ?!」

夜のひっそりとしたリビングに俺の声だけ場違いに響き渡る。
オヤジは俺の発言に驚くこともなく、静かに諭した。

「エイシン、名無子ちゃんはまだ小さい。連れて行っても、父さんも母さんもお前を守ることで手一杯だ。あの子までは守りきれないよ。だから、お前がもっと成長して守れるようになったとき、迎えに来てあげるといい」

オヤジの隣でおふくろもその言葉を後押しするように頷いた。

「そうね。私たちも名無子ちゃんを置いていくのはつらいわ。でも、後で迎えに来ても遅くはない。お母さんもお父さんの意見に賛成よ」
「――――」

納得なんかいかなかったけど、いつか必ず迎えに来ると胸に誓って、俺はあの夜、名無子を残して里を抜けたんだ。
オヤジとおふくろはその言葉通り、俺のことを精いっぱい守って死んでいった。
抜け忍になって、両親も失くして、何も持たない俺は強くなるしかなかった。
この所属一派の中でのし上がってやろうと決めたのはその頃だ。
のし上がって、偉くなって、名無子を何不自由させない状態で迎えに行こうって決めたんだ。



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