HALF.
episode.40 (ページ5/6)

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なにかすべてに納得した声がエイシンの喉を震わせて、その直後、エイシンはどこにそんな力が残ってたというのか、名無しの右足に手を伸ばし、太もものホルダーからクナイを抜き取った。
そして、

ザシュッ!!

エイシンが自分の頸動脈をかき切った――。
肉を断つ音、続いてエイシンの首筋から鮮血が吹きあがる。
その朱色の滴が目を見開く名無しを真っ赤に染めた。

――――ッ!!

息を、飲んだ。
エイシンから流れ出る血液以外、他に動くものなど何もない。
その光景に誰もが見えない氷に囲まれたようにその場に凍てついた。
この世界すべてが固まるしかないように思えた。
じっと時を止めたそんな世界を、しばらくして最初に解除したのは名無しだった。

「……エイシン? エイシン?」

名前を呟いた後、名無しは自分の声で我に返ったのだろう、慌てて両手をエイシンの首筋にあてがった。

「止まれ……。止まれッ……」

まだ鮮血の溢れる傷口を必死に押さえ、何度も繰り返す。

「止まれッ……! 止まれッ……!!」



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