HALF.
episode.40 (ページ3/6)

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今、名無しの手の平に感じられているエイシンの体内はきっとそこにおさまる臓器や血管がひどい状態になっているんだろう。
俺は黙ってふたりを見守った。
名無しの額には徐々に汗が滲んでくる。
でもその手から流れる膨大で繊細なチャクラが途絶えることはなかった。
名無しの頬を伝わり、汗がズボンにぽたりと落ちた。
それが小さな染みを作ったとき、エイシンの目が薄く開かれた。

「エイシン?」

グレーの瞳が名無しを見る。
その目を覗きこみ、名無しがゆっくりと話しかけた。

「今、助けるから。大丈夫、このくらいなら私、治せる」
「ずいぶん……立派になったんだな、名無子……」

途切れ途切れの声に苦しげな響きがこもる。
声を発するたびに揺れる体内が痛みを生み出すのだろうが、エイシンは気丈にもその顔を歪めることはなかった。

「そうだよ、エイシンがいなくなってから頑張ったんだから」
「そうか……」

エイシンは名無しから空に目を向けた。
上に広がる真っ青な空にエイシンは何か懐かしいものでも見つけたように目を細め、そのままスッと目を閉じた。



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