HALF.
episode.38 (ページ1/2)

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息を飲んだ俺と、俺の足元から伸びた影が、空手のまま空虚に放心している。
さっきまでエイシンの形をしていた物体があった場所に残されたのは地面に広がる水たまりだけだ。
その光景に、俺の脳がようやく正気を取り戻した。

水分身の術ッ……!!

目を見開いた俺の耳にすかさずエイシンの笑いを含んだ声が届く。

「あぶない、あぶない。分身にしておいてよかったよ」

目を向けた先ではエイシンが先ほど俺に蹴り飛ばされて突っ込んだ茂みの中からガサリと出てくるところだった。

アイツ、あの茂みで水分身と入れ替わってたのかよ?!

眉間にしわを寄せた俺にエイシンが片方の口端を持ち上げた。

「足場は悪いし、念を入れておいて正解だった。隊長さんの目も俺の動きに慣れつつあるしな。さてと」

エイシンが首をめぐらせ、まわりを眺めた。



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