HALF.
episode.36 (ページ2/4)
俺はエイシンが放った強力な電流に焦げたゴム手袋をぺリッと手からはずし、ヤツの顔を覗きこんだ。
「電気っつったって、それを通せなきゃ意味ねぇーもんな。ここにあるもんで絶縁体って言やぁ、コレだろ」
医療用ゴム手袋。
さっき名無しからもらった手袋を俺はあらかじめ左右二枚ずつ手にはめておいた。
透明のそれははめていたところでたいして目立たず、エイシンも気になどしなかったに違いない。
その手袋のおかげで電流は俺の体に流れることなく、命拾いというわけだ。
「フンッ、なかなかキレるんだな、隊長さん」
エイシンが鼻で笑い、続けて呟いた。
「でも、キレるだけじゃダメなんだぜ?」
ギギギッと、俺のエイシンを縛る影が強烈な抵抗力でねじ伏せられようとして、目に見えぬチャクラ同士のぶつかり合いに体中が軋みをあがる。
クッ……なんだ、コイツの力……すげぇッ……!!
離すまいともがく俺のチャクラをさらに上回る強さでエイシンが抗ってくる。
いや、抗いなんてもんじゃない。
このまま影の拘束をぶっ壊して攻撃に転じようとする、凶暴な意思表示だ。
やばい、これじゃあ俺がまたつかまるッ!!
俺は捉えたエイシンの影を自ら離し、相手につかまらないよう力任せに蹴り飛ばした。
ダンッと俺に吹っ飛ばされたエイシンが背中から近くの茂みに突っ込んでいく。
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