HALF.
episode.34 (ページ7/7)
名無しが目を伏せる。
「エイシンが隊長の影のことを知ってるなら、隊長もこのくらいわかってなきゃ不公平です……」
顔に浮かぶ切なげな表情は、エイシンを案じる気持ちと俺に味方する思いがぶつかり合っていることを物語る。
名無しの手から物を受け取り、俺は静かに頷いた。
「さんきゅーな」
名無しが視線を上げた。
その折れそうな視線を真っ直ぐ受け止めて、今度は目だけで頷いた。
大丈夫だ、名無し。
お前はそんな顔、しなくていい――。
俺は名無しからもらった物を手早く仕込み、それが済むと、エイシンに向き直った。
名無しがチョウジの体を引きずって俺の後ろに下がる気配がし、やがて静かになる。
黙ってこちらを見つめていたエイシンが呆れたように口を開き、辺りの空気を震わせた。
「なんだよ、せっかく逃げるチャンスを作ってやったのに戦う気か。前回と言い、今回と言い、ほんとにお前は俺の邪魔ばかりするんだな。まぁ、いい。この際ここで潰しとこう」
「つべこべ煩ェーんだよ。潰されんのは、テメェのほうだろーがッ!」
俺はエイシンに向かって走り出した。
to be continued.
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