HALF.
episode.34 (ページ4/7)

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俺にハンデをくれようとしたアイツの傲慢さを叩きつぶしてやりたくて、俺は拳を握り、エイシンを睨みつけた。
その視線を面白そうに見返して、エイシンがクッと挑発的に笑う。

「本気で、ハンデ無しの状態で戦うのか、いい度胸だ。それならこちらも手加減なしでいく」

すぅっと笑いを引っ込めたエイシンが辺りにひりつくような緊迫感を放ちだし、軽く身構えた。
そのとき、

「やめてよ、エイシンッ……」

それまでずっと黙っていた名無しが声を発した。

「やめて……」

掠れがちなその声はどこか痛々しげで、俺に向けられていたエイシンの瞳がゆっくり名無しに移動する。

「名無子……相変わらずだな。人が死ぬところは見てられないか?」

名無しがその沈黙でエイシンの問いかけを肯定する。
エイシンは頬を緩め、ひどく優しい顔を見せた。

「だったらこういうのはどうだ。俺の目的は名無子を連れて戻ること、それさえ叶えば他のことはどうでもいいさ。だからソイツらが妨害をやめ、お前が俺と一緒に来るというなら、俺は誰にも手を出さない。それならいいだろう? 悪い提案じゃないはずだ」

名無しに言われたその言葉に俺の心が無条件に声をあげた。

「なめたこと言ってんじゃねぇーぞ! ソイツは行かせ……」
「一緒に行く」
「――ッ」



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