HALF.
episode.34 (ページ2/7)

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よくわかんねぇーけど、ただそれだけが、俺の中にある思いのすべてだった。
ギリッと自分を睨みつける俺を見て、エイシンが、あぁ、と何かに気づいた顔で口を開いた。

「お前、この間名無子を連れ戻しに追っかけてきたヤツか。そういえば影を操ってたな。奈良家の人間か」
「そーだよ。だったらなんだ?」
「この間って……?」

口をはさんだのは名無しだ。
拉致時は気絶していたせいで俺とエイシンが対面していたのを知るはずもない。
疑問に思うのも当然だった。
俺は前を向いたままエイシンから視線を切ることなく名無しに告げた。

「お前が二人組に連れてかれたときにコイツも一瞬現れたんだ」
「え――じゃあ影は……」
「そんとき見られたんだろ」

直接エイシンに影を使ってどうこうした覚えはないが助けに入ったヤツのタイミングからして俺たちをどっかから見ていたのは確実だ。
自然、俺の影がヤツの仲間を捕まえるところも目にしただろう。
ふーん、と俺を品定めするように眺めていたエイシンが口元にニヤッと笑いを浮かべた。

「ま、お前じゃ俺には勝てねーか」
「なんだとッ?!」

ガッと噛みついた俺にエイシンがさらに告げる。

「ハンデをやるよ。俺が名無子を連れていくのを阻止するつもりなんだろ? でも俺と渡りあえなきゃ意味がねぇ。だからハンデをやろう」

渡り合えねぇーって……。
コイツ、頭っから俺より自分が強いって決めてかかってやがるッ!



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