HALF.
episode.34 (ページ1/7)
7年前に木の葉の里を抜けた名無しの幼馴染。
それが今、俺の前にいるエイシン。
名無しの話を聞いてようやく俺にも状況が飲み込めてくる。
家族を失くした名無しと親しくしていた幼馴染の一家があったって綱手が言ってたな。
確か引っ越したとも。
それはコイツのことか。
いくつかの情報が繋がりあうと同時に綱手やオヤジが名無しの過去を口にしたがらなかった理由もわかる気がした。
母親に何かあって言いたくないのは事実だろうが、里の抜け忍と親密だったということもおそらくふたりは公にしたくなかったに違いない。
そんな話、誰にだって聞こえのいいもんじゃねぇーからな。
無意識のうちに立ちあがり眉間にしわを寄せていた俺の前で、エイシンがもう一度名無しに呼びかけた。
「なぁ、俺と一緒に行こう」
「ふざけんなよ」
名無しの代わりに答えていたのは俺だった。
「行かせるわけねぇだろーが」
名無しを行かせてたまるかよ。
抜け忍は里の掟を破ることになる。
名無しをおめおめと罪人になんかできるか。
いや、里のルールだとか決まりだとか、この際それらはどうでもよかった。
部下だからとかそんな上っ面の理由づけもいるもんか。
俺はただ――名無しを行かせたくねぇーんだ。
(ページ1/7)-136-
←|→ backselect page/181