HALF.
episode.33 (ページ2/4)
「え? え?! 何、その術? どうゆーこと?!」
分身は攻撃を受けると同時にすぐ消えるのが普通だ。
だが、今、エイシンの分身はそれとは違うやけにゆるやかな消え方をした。
その理由がわからず名無子は目を見開いてエイシンを見つめる。
エイシンは名無子の問いかけにニッと笑ってみせた。
「殺してないからだと思う。ただ気を失うだけだと、分身の消え方も遅いみてえ」
「殺してない……?」
「あぁ、殺してない」
エイシンは名無子に頷き、さらに言葉を続けた。
「この術はチャクラを凝縮させて相手の脳に流し込み、脳を振動させる。いわゆる脳震盪ってやつを引き起こすんだ。つまりは相手を気絶させてるだけ」
「じゃあ……」
「そう、相手を殺すことはない」
エイシンの説明に名無子の顔がパッと輝いた。
名無子のその表情にエイシンもふわりと笑って嬉しそうな声を出す。
「名無子は敵でも殺したくないんだろ? だったらこの術覚えろよ。役に立つと思うからさ」
「うん! 絶対に習得する!!」
「よーし、じゃあ教えてやる。ただし結構難しいぞ、この術。なんたってチャクラを直接脳に流すからな、その量を調整し損ねると気絶どころか即死させちまうんだ。俺もそのあたりは苦心したよ。でもお前のために作ったんだから、やっぱお前に使ってもらわねーと」
「エイシン、私のために作ってくれたの?」
軽く目を瞠る名無子にエイシンが頬を掻く。
「まぁな。名無子が人を殺したくないって言うから考えてみたんだよ。なかなかいい出来だろ、この術?」
エイシンがちょっとだけ満足そうに明るく笑った。
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