HALF.
episode.29 (ページ5/6)
「それともアレですか、私なんかに隊長の体、任せられ……」
「違ェーよ!」
思わず真剣に名無しの言葉を否定する自分がいた。
私なんかに隊長の体、任せられませんか、だと?
馬鹿なこと言うんじゃねぇーよ。
そんなこと――。
治療途中の胸が嫌な軋みを上げて痛みを訴えた。
『俺はお前なんかに絶対ェ命は預けねぇ』
初任務のとき、そんな言葉を言って俺はコイツを傷つけた。
でももうあのときとは状況が違う。
最初の任務でチョウジを助け、俺の腕を治してくれた。
その後も何度も一緒に任務を重ね、くさるほどコイツの治療を受けて、それでようやく俺にも見えてきたんだ。
お前が俺らの命を救うためにどんだけ必死かってことが。
どんな小さな傷も見逃さぬように、どんな場面でも対応できるように、いつだって細心の注意を払ってる。
俺がチーム全員の命を守ろうとするように、お前もその手でみんなの命を救おうとしてんだって、ようやくそれが、
俺にも見えてきたんだよ――。
だから、頼むから、
「そんなふうに言うなよ」
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