HALF.
episode.29 (ページ4/6)
「あー、いた、いた。もう」
しばらくして突然かけられたその声に目をあければ、俺のほうへ急いで駆け寄る名無しの姿が見えた。
「ダメですって、隊長。ちゃんと治療しなきゃ」
そばまで来た名無しは俺の前で膝まづき、迷うことなく俺の右胸に手をかざした。
その直後、ブォッと大量のチャクラを流し込んでくる。
黙り込む俺に名無しはちょっとだけ怒気を含んだ口調で続けた。
「最後の一撃、そうとう痛かったでしょうーが」
あぁ、知ってんのか、コイツ。
言わなくてもやっぱりわかってやがる……。
体に流れ込むチャクラの温かさと、何を言うわけでもねぇのに俺の痛みをしっかりわかって取り除けちまうコイツに、いつもながらの安心感が走る。
「なんスか、今日は。遠慮してんですか? 怪我してんのに姿くらましたりなんかして。そんなんだったらその悪い目つきで早く治療しろーって圧力かけられるほうがよっぽどマシですって」
なんだよ、それ。
相変わらずひでぇこと言うよな。
大人しく聞いてる俺に向かって名無しが憮然と訊ねた。
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