HALF.
episode.27 (ページ2/3)
俺は今日の追いかけっこを思い出しながら、苦笑交じりに答えてかえす。
「まぁ……あの誓約書もありますし、ボチボチって感じッス」
それを聞いて綱手が鼻で笑いながらするどい指摘をした。
「前よりはマシってとこみたいだな」
あぁ、その通りだよ。
俺は心の中で呟いた後、ふっと突然今日ならイケる気がしてきた。
この話の流れなら名無しの親のこと、うまく聞き出せるんじゃねぇーか?
話を切り出すタイミングってやつを少しずつ計りだす。
すると、綱手が何気なく視線を寄こして俺の顔をじっと見据えた。
「なんだ、シカマル? 言いたいことがあるなら言え」
「……」
あー、さすが綱手、鋭い……。
こうハッキリ言われると、もう誤魔化しはきかない。
俺は腹をくくって綱手に訊ねた。
「名無しの母親ってなんかあったんスか?」
めずらしく綱手の前を不自然な空気が流れて、
やっぱり言いにくいことがあんのは確かみてぇーだな。
嫌でもそう納得できた。
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