HALF.
episode.26 (ページ9/9)

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頭の中にさっき後輩のイチヤに言われたばっかの言葉がよみがえる。

『以前より安心して戦ってるっていうか。なんか前より楽になったんじゃないかって思えるんスよね』

……その通りかもしんねぇ。
確かにそれは名無しが一緒にいるからなのかもしんねぇ。

名無しにまたがったままの俺の背に遠くからイチヤの声が聞こえてくる。

「ちょっとォー。ふたりともそんなとこでイチャコイてないでそろそろ行きましょうよォ。っつぅーか、俺、失恋したばっかりなんスよ、その痛手が癒えてないんス、見せつけんのやめてくれませんか? ったく」
「――!! ッざけんな! イチャコイてなんかいねぇーよ!!」

俺はイチヤを振り向いて叫ぶと、火照る体を誤魔化すように手にしていたせんべいの空き袋を名無しの半開きの口ん中にムガムガと押しこんだ。

「傷治してくれたお礼だ、取っとけ」

ぶっきらぼうに告げて立ち上がり、俺はスタスタとイチヤの待つほうへと歩き出した。

「ハガッ。……ペッ、隊長、ひどッ!!」

口から袋を出したらしい名無しがガサガサ立ち上がって文句を放ちながら俺を追いかけてくる。

何言ってんだよ。
いつも最初にひでぇことすんのはお前のほうだろーが。

俺は後ろから聞こえる名無しの足音にふっと苦笑を漏らした。





to be continued.
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