HALF.
episode.26 (ページ7/9)
「いるか、こんなん!! いらねぇーよ! いらねぇーから!! こんなん持たされても有難迷惑なんだよ! さっさとポーチからゴミを出しやがれ!!」
「そんな遠慮せずに」
「してねぇーよ!! お前のほうこそ人様の人生に対して少しは遠慮しろ!!」
俺は手に持たされたカブトムシをポッと地上に逃がしてやると、忍ポーチから中身をすでに食べられたせんべいの袋を取り出した。
名無しに突き返そうと目を向けた先にもうアイツの姿はなくてすでに逃げ出した後だった。
その走り去る後ろ姿を見つけ、
あのヤロー!
俺がすかさず追いかけると、さずがに足で男に敵うわけもなく、名無しは野原の真ん中で俺にまんまと追いつかれた。
「コオォォラァーー!!」
「うぎゃぁー!」
名無しの腕をグイッと捕まえた瞬間、運悪く名無しがバランスを崩し、地面に倒れ込んだ。
その腕に引きずられ、俺まで重心を失う。
「うぉわっ……!!」
ふたり一緒に転んだのはいいが、名無しを下敷きに折り重なって倒れた俺はまるで名無しを押し倒したみたいな格好になる。
名無しは仰向けに転がり、俺はその手を上からつかみ、そのままお互い凍りついたように見つめあった。
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