HALF.
episode.25 (ページ1/4)
奈良シカ園を出た俺とチョウジは肩を並べ、なんとなく俺のうちにつながる道筋を辿っていた。
いつもは気にならない沈黙が今日はやけに気になって、我慢できずに俺はその静寂を破った。
「昨日ごめんな。病室寄らずに帰っちまってさ。ちょっと用事思い出してな……」
我ながら苦しい言い訳に口元が引きつる。
だが、チョウジは、
「そっか、じゃあ仕方ないよ」
嫌な顔ひとつせず頷いてみせた。
昨日あの後、俺は病室の扉を再度開けることはできず、そのまま帰ってきてしまった。
仕方ねぇと思う。
あの状況じゃ中になんか入れねぇーよ……。
脳裏にこびりつく病室内の映像をどこかに押しやりたくて、俺は無理やり話を続けた。
「名無し、寝てたろ? ちゃんと目ェ覚ましたか?」
「うん、大丈夫、起きたよ。ずいぶん暗くなってからだけど。家には僕が送っていったよ」
「そっか……」
家まで送っていったのか――。
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