HALF.
episode.24 (ページ5/5)

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綱手に?

オヤジの言葉に俺が首を傾げていると、ふっと背後に人の気配を感じた。
ん? と思って目を向ければ、そこにはいつのまに現れたのかチョウジが立っていた。

「チョウジ……どうしたんだよ、こんなところで?」
「おばさんに聞いたらここだって言われて」
「あぁ、そうか」

軽く頷く俺の横をオヤジはすかさず通り過ぎ、チョウジの肩に手を乗せた。

「やぁー、チョウジくん、久しぶりだな。すっかり立派になって、こりゃあオジサンも驚いたぞ?」
「オジサンとはおととい会ったじゃないか……」

チョウジの突っ込みなどものともせず、オヤジはチョウジの肩をポンポン叩き、

「じゃあオジサンはお仕事があるからもう行くが、ふたりとも仲良くするんだぞ。さぁ、今日も家族のために頑張るとするかぁ」

無意味な気合いを振りまいて立ち去ろうとする。
その後ろ姿に、オヤジッ! と呼びつけようとして、俺はあっと思いとどまる。
横にいるチョウジの存在に昨日の病室の光景がまた鮮明に浮かび上がり、名無しの話題を口にするのがためらわられた。
いや、ためらわられた、っていうことだけじゃない。
なんでか俺はチョウジの前で口にできなかったんだ。
名無しの母親の話題を俺はどうしても言うことができなかった――。





to be continued.
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