HALF.
episode.20 (ページ2/4)
煙が風に流されゆっくりと引いていく。
その中で徐々に現れる俺の姿にサグが息を飲んだ。
「キサマ……」
俺が追いかけてきたことにも驚いたのだろうが、それ以上に俺とサグの間に倒れるリダの姿に目を瞠る。
俺は口端を片方ひきあげた。
「そっちこそたわいねぇーな。俺の声に引っかかって自分の仲間潰しちまうなんてな」
言葉を失うサグに向かって俺は追い打ちをかけるように説明してやった。
「煙で視界が悪くなったところを俺はアンタの仲間に背後から近づき、影で縛らせてもらった。そしてわざとアンタに声をかける、自分の位置を知らせるためにな。俺の声に挑発されたアンタは俺と自分の間に仲間が立っているなんて露知らず、俺に攻撃するつもりで自分の仲間にボディーブローを決めちまったってわけだ。見事だな」
「このヤローッ……!!」
怒りに顔を赤らめたサグがつかみかかろうとし、俺は即座に飛びさがる。
サグに自分の影を伸ばそうとしたとき、
ガゥッ!!
横から何かがサグに飛びかかった。
「なんだ?! クソッ、離せ!!」
サグが腕を振りまわしながら大声で悲鳴をあげる。
見ればサグの腕には先ほど地面に投げつけられた子グマが牙を剥き、噛みついていた。
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