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Girl's side-32 (ぺージ1/1)

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退院まではあっという間だった。
シカマルさんがくれたクマくんと一緒に、毎日シカマルさんの訪問を待って過ごしていたら、なんかすごく速く時間が過ぎていった。

「来週、退院していいって言われました」

一週間前、私がそう言うと、任務が終わってすぐ来てくれたらしいシカマルさんは、ほこりっぽい顔を手の甲でこすりながら、

「そっか、よかったな」

嬉しそうに笑ってくれた。

「荷物なんかあるから一人じゃ大変だろ? 退院日に来てやるよ」
「でも任務で忙しいんじゃ……」

シカマルさんの優しい提案に私が口ごもると、

「んなことねぇーよ、気にすんな」

シカマルさんはさらりと答えた。
シカマルさんが忙しくないわけはなかった。
お見舞いにいつも泥だらけの恰好で現れることからも、任務の多忙さ、大変さは一目瞭然だ。

やっぱり、悪いよ……。

「人の厚意は素直に受けるもんだぜ?」

黙り込んでいた私の気持ちを見透かすようにそう言うと、シカマルさんはそうだろ? って顔をした。

シカマルさん――。

「ありがとう、じゃあお願いします」
「おぅ」

シカマルさんが当然といった感じでうなずいてみせた。





その言葉通り、退院日の今日、シカマルさんが私を迎えに来てくれた。
外はあいにくの雨模様。
退院手続きを済ませて、私たちは二人、傘をさし、雨降る道を家に向かって歩き出した。
あれだけキライだった雨が、今はほんの少しだけその重圧を和らげている。
きっとシカマルさんのおかげだ。
となりで私の荷物を持って歩いている、ただそれだけなのに、シカマルさんがいるだけで雨がこんなにも怖くない。
私は唯一自分で持っていたクマのぬいぐるみをぎゅっと抱えなおした。





to be continued.
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