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Boy's side-31 (ぺージ1/4)

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開けられた窓のそばで、名無子が囁くように俺の名を呼んだ。

「シカマルさん!」
「よぉ」

俺は木の枝にしゃがみこんだまま、シシシと笑って片手をあげた。

「悪ィ、寝てたか?」
「まだ、寝てませんけど……」

俺を見て、めずらしく名無子があとの言葉を失っている。
そんな名無子に俺はからかい口調で囁いた。

「どーしたんだよ?」
「どーしたって…シカマルさんこそ……」
「俺? 何言ってんだよ、俺はお前の見舞いにきまってんじゃねぇーか」
「見舞いって…こんな遅くに?」
「しょーがねぇーだろ。任務で今、帰ってきたばっかなんだから」

それを聞いて名無子がパッと目を逸らした。
その姿に俺もハッとする。

ヤベッ……俺、お前に会いたくてたまんなかったって自白したようなもんじゃねぇか。

あまりにも静かすぎる暗がりの中で、どきどきする俺の胸の音が病室にまで届きそうな気がした。
そのまま俺が名無子の方を見れないでいると、不意に名無子がこの静寂を破った。

「あの……あたし……」

窓の桟に身を乗り出すようにして名無子が言う。

「そっち行ってもいいですか?」

え?

「あたしもそっち行きたい。もっとシカマルさんの近く行きたい……」

そんな台詞を言われて、まっすぐ見つめられて、俺の息が止まった。

俺のそばに来たいって言ってる。
俺のそばに。
お前が。

驚きと嬉しさのあまり、思わず頭の中で反芻する俺の耳に、名無子の申し訳なさそうな声が響いた。

「このケガじゃ無理ですよね…。すいません、変なこと言って……」



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