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Girl's side-28 (ぺージ1/2)

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真っ暗やみの中に私は立っている。
右も左も前も後ろも黒く染まったこの世界はひどく心細い。

ここは……どこなんだろう。

上を見上げた私の目にちらっと星の光が映った。
一つ…二つ…とその数はだんだん増していき、ついには満点の星空と化す。
吸い込まれるように、私は天を仰いだ。
空に散りばめられたその星たちが、今度はス…ス…と流れはじめたかと思うと優しい霧雨のように私の上に降り出して、その中の一粒が私の手のひらにコロリと転がった。
よく見ればそのキラキラした粒は星ではなくて。
とげとげした可愛らしいかたちの、

こんぺいとう……?

サァーッと音を立てて、こんぺいとうの雨が降る。
ふっと。
その雨の向こう側に私は見つけた。
私に向ってふんわりと笑いかける人影。
私の大好きな兄者の笑う姿を。

「兄ッ、兄者……!!」

私は駈け出した。
夢中でこんぺいとうの雨をくぐり抜け、必死に兄者に手を伸ばす。

「兄者ッ!!」

兄者は私に笑顔を向けたまま、スルスルと私との距離を縮めることなく離れていく。
その姿を追いかけているときに突然、背後から鮮やかな輝きが私の周りを突き抜けた。
足を止めて後ろを振り返ると、いつの間にかこんぺいとうの雨はやんでいて、かわりに真っ暗な静寂の中にキラキラ音を立てるかのように虹がかかっていた。

虹……。

何か大切なことを忘れているような気がする。
でも、それが何なのかうまく思い出せずに、私は再び兄者のほうを見た。
かわらずに優しく笑いかけてくれる兄者の姿に、私はまた一歩足を踏み出す。

兄者……。

『絶対ェ遅くなんなよ?』

え?

私の背中に虹から声がかかった。
男の人の、聞いたことある声。



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