take me out
Boy's side-24 (ぺージ1/1)
しゃくりあげる名無子を俺はずっと抱きしめていた。
弱さを見せてくれたことが嬉しくて、でもそれ以上にコイツを守りたいって気持ちでいっぱいになる。
こんな華奢な体で頑張ってきたんだな、お前。
腕にすっぽりとおさまる名無子の体は、普段目にしている姿から想像するよりもずっと小さくて頼りなく感じた。
俺は名無子を抱きしめたまま、その髪を何度も優しくなでてやる。
いつも感情抑えて、強い自分作って、そうやって誰もいないところで一人泣いてたんだろ?
不器用なんだよ、お前。
もう、そんなに頑張んなくていーから。
俺がそばにいるから。
脆いお前を一人になんかしねぇーよ。
ようやく泣きやんだのか、名無子が俺から少しだけ体を離して、おずおずと俺の顔を見上げてきた。
涙でグシャグシャな顔はすごく無防備で、濡れた瞳が俺を頼るように縋りついてくる。
愛しいなんてもんじゃなかった。
このまま俺の気持ちを告げちまおうか――。
そんな思いにかられる。
それでも俺は、
「ひでぇ顔」
って、わざと名無子を意地悪く笑ってやった。
俺がそう言ってからかうと、名無子は顔についた水分を拳固でグシグシふきはじめた。
俺はそんな名無子を見つめながら、一つ一つ数え上げていく。
コイツの見せた数少ない表情を、一つ一つ。
冷静な顔、可愛げねぇ顔。
キレイな顔、安心してる顔。
壊れそうな顔。
そして、泣き虫な顔。
まだだ、と思う。
まだ伝えらんねぇーな。
お前が好きだっていう俺の気持ち。
俺は心の中で呟いた。
だって、まだ見れてねぇーんだよ、俺。
一番大事なお前の笑顔を。
to be continued.
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