take me out
Girl's side-12 (ぺージ1/4)

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私の心臓はこれでもかっていうほど、バックンバックン悲鳴をあげた。
それもこれもすべてこの人のせい。
二、三歩前を行く奈良さん。
この人のせい。
ホタルを見終わって、送っていくと言った奈良さんに、私が送ってくれなくていいって言ったら。
この人はすんごい真面目な表情で、私の顔を覗き込んできた。
ひどく男っぽいその眼差しに射すくめられて、私のアドレナリンは脳内で放出されまくって、心拍数も上がりまくって、柄にもなく、キスされるッって一際ドクンと心筋の収縮を感じた瞬間、グイッとほっぺをつままれた。
「家どっち?」って。
私からの返事を聞いた奈良さんは、すかさず得意気に口元をニヤリとゆがめて笑った。

そんなことを聞き出すためにこの人は……。
この人は……。
あんな顔して、私の心臓を爆破させるつもりか。

送ってくれなくていいって言ったのは。
送られたくないからじゃなくて。
一人暮らしなのを知られるのがやだったから。
私にはまだ、その理由を明るく伝えられるだけの自信がないから。
ただ、それだけなんだ。





一人じゃない帰り道は、あっという間に過ぎていく。
どんだけ話題が途切れても、あなたと一緒にいることが心地いい。
父上に頭を撫でられたときのような温かさを、兄者がニコニコ笑ってくれたときのような明るさを、奈良さんは私に取り戻させてくれる。





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