take me out
happy (ぺージ1/12)

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太陽に照らされ白々と光る真夏の大気は、今年はあっという間に姿を消した。
別に夏が短かったわけじゃない。
俺の忙しさがそう感じさせただけだ。
任務三昧、まさにそんな感じの夏。
湿度の高い熱気も、見上げた網膜に突き刺さる入道雲も、気にかけてる余裕なんてないくらい、俺は多忙を極めてた。
でも、それはあいにく俺だけじゃない。
俺の彼女、名無子もそうだった。
本当なら、俺たちが付き合いだして初めての夏、一緒に夏祭りや花火大会に行くつもりでいた。
現にその約束は二人でしてたのに、俺に任務が入り、アイツに任務が入りと、その予定は砂上の楼閣、あっけなく崩れてしまった。

「まぁ、任務じゃしょうがねぇーか」

なんて、物分かりのいいツラして納得してみせたけど、そんなのただの俺の強がりで、腹ン中じゃ相当ヘコんでた。
すげぇ残念だった。
でも、その思いがバレんのもカッコ悪くて、俺は、

「また来年な」

って笑ってみせただけだった。
そうして、気がつけば辺りは夏特有の燦然とした気配が消え失せ、代わりに乾いた秋色の風が流れ出していた。
9月になっていた。
その月も下旬にかかる頃、俺はようやく休みがもらえた。
9月22日。
それは俺の誕生日だった。





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