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Girl's side-07 (ぺージ1/3)

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イライラする。
この数日間、空を眺めるたびに奈良さんの顔が、奈良さんの言葉が、思い浮かんで消えていく。

『一人で見上げてんのも寂しいだろ?』

そんな残像残響に私の体がホワッと明るく温かくなってしまうから。
イライラする。

あの虹の日以来、私おかしい……。
こんなんじゃイケないってわかってるのに――。
こんなんじゃダメだってば……。
私には優しくしてくれる人なんて、もういらない。
父上や兄者で十分だ。
その優しさも、温もりも、そして失う痛みだって。

ベッドに背をもたれかけさせ、近くの窓から空を眺めていた私は、そのままの姿勢でベッド脇のサイドテーブルに目を移した。
無造作に置いてある手裏剣が目に入った途端、自分の気持ちとは裏腹に、ひときわ鮮明に奈良さんの姿が浮かびあがった。
虹を背にした奈良さんの姿に私の中にも虹が灯る。
私はなんだかいてもたってもいられなくなって、つなぎのポケットに手裏剣を突っ込むと自分の部屋を後にした。



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