take me out
Boy's side-05 (ぺージ1/4)
今日は休日。
空はどんより曇り空。
今にも雨が降り出しそうだ。
こんな日は家でおとなしく読書するに限る。
俺は自室で本を読んでいた。
床に腹這いになって文字に目を落とす。
まさかな。
……ねぇな。
あるわけねぇな。
俺は頭から否定した。
本の内容を、ってわけじゃねぇ。
俺が否定したのは……。
そう、丘の上の人影と名無しが同一人物って可能性、だ。
本の内容なんか全然頭に入ってきちゃいない。
あの名無しが?
丘で?
星空見て?
泣いてたかも?
……馬ッ鹿じゃねぇのか、俺。
任務でしっかり見たじゃねぇか。
冷静で、切れ者で、動じねぇあの名無しを。
頭の中にフッとアイツの焦げ茶色の眼が思い浮かんだ。
感情の見えねぇ落ち着いた眼。
アイツは泣いたり、笑ったりしねぇんだよ、きっと。
そうに決まってる。
俺は納得した。
アレは別人。
そこで突然俺の思考はうち切られた。
部屋の扉がガチャッと開いて、その隙間から母親が姿を現した。
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