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Boy's side-08 (ぺージ1/4)

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あの日、俺が起きたとき、隣に誰もいなかった。
それでも、あれは名無しだったって俺は確信できた。
あの声を聞いたから。
それと、あの日を境にアイツが俺の近くに来るようになったから。
名無しは猫みたいだと思う。
どっかの捨てネコみたいに恐る恐る近づいてきてはこっちが振り向くと逃げ出して、逃げ出しては距離を縮めてくる。
その繰り返し。
仕方ねぇーから、俺はいつからか素知らぬ振りをして、名無しに近づきやすくしてやっていた。
そんなことを何度も積み重ねて、少しずつ、でも確かに、名無しはやっと俺のそばまでやって来た。





縁側に将棋盤を持ち出して、俺は一人将棋に向かっている。
目の前には名無しがいた。
縁側に腰掛けて、後ろ手に体重をのせ、相変わらず空を見ている。
いつも通りの無表情。
いつも通りの無愛想。
でも俺はちょっと気づいたことがある。
コイツの空を見つめているときの横顔はとてつもなくキレイだってこと。
透明感……?
そう、そんな感じ。
触れたら砕けそうな透明感。
不純物をすべて取っ払ったら、こんな澄んだ眼に、透き通った雰囲気に、なるのかな。
そんな横顔を眺めていると、コイツの心の中をのぞいてみたくなる。

名無し、お前、何を考えてる?
どんなことを思ってる?



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