take me out
Boy's side-07 (ぺージ2/2)
あの雨の日以来、ずっと名無しの存在が俺の胸に引っかかっている。
任務で忙しいときはいい。
けど、いったんその忙しさから解放されると、いつの間にか頭の中に名無しの姿がフワリと浮かんで俺のことを見つめてくる。
そんなとき、俺は柄にもなく、今日はアイツ、俺ンとこにくるかもしんねぇー、なんて考えちまうんだ。
忘れてたはずなのに。
何、期待してんだか。
俺は自分の内にたまるイライラした靄を全て押し出すように、大きく息を吐ききった。
降りそそぐ日差しは相変わらず暖かで。
あぁ、また眠くなってきた。
今度こそ眠れそうだ……。
睡魔の手が伸ばされ、俺はその腕に落ちていく。
ウトウトする意識の中で、俺はふと誰かが自分の足元に腰掛ける気配を感じた。
誰だ、そんなとこに座るのは。
ハッキリしない自分の頭で自問して、その疑問に期待を込めた自答を返す。
もしかして。
お前か、名無し?
お前か?
「名無し……?」
眠気に引きずり込まれながら、俺は呟いた。
意識がなくなりそうで、それでも確かに俺には聞こえた。
「そうですけど」
って答えたアイツの声。
小さいかぼそい名無しの声。
to be continued.
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