take me out
Boy's side-06 (ぺージ3/3)

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家に着くと、買ってきた物を雨が滴る袋ごと母親に渡し、俺はさっさと風呂に入った。
台所では母親が、傘を持って出たにも関わらずびしょ濡れで帰ってきた俺にびっくりして、まだ喚いている。

ったく、うるせぇーなぁ。

俺は浴槽に体を深く沈めた。
雨で冷えた俺の体がだんだん温められていく。
それに呼応するかのように、先ほどまでの出来事が俺の頭によみがえってきた。

俺、なんであんなこと言っちまったんだろう……。

雨の中で俺を見上げてきたアイツの顔を思い出し、その儚さに俺の気持ちが動揺する。

名無し――。
アイツがあんな顔するから。

一人にしておいたら、なんか壊れそうな気がした。

泣いてたんだよな、たぶん。

無表情かと思えば、あんなに脆い顔をする。

なんでだよ?
わかんねぇよ、名無しって人間が。

湯気で白く煙る浴室の空気を眉根を寄せて睨みつける。
その中にふと浮かび上がった情景に俺はドキッとした。

この間の星空の下……。
アレもやっぱ、名無し、か?
アイツが泣いて……。

そこまで考えて俺は自分が嫌になった。

っつぅーか、俺さっきからずっと名無しのことばっかだな。
あぁ、めんどくせぇー。
やめだ、やめだ。

蛇口をひねって勢いよくシャワーを出す。
俺は浴槽からザバッとあがると、頭から思いきり熱めのシャワーを浴びた。





to be continued.

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