take me out
sky,cloud and-1 (ぺージ8/9)
そして、警備を開始して二時間と言ったところだろうか、ようやく大名一行が橋の向こう側に姿を現し、警護を請け負った木の葉の手練たちが素早く引き継ぎするや、さっそく里への道を進みだした。
一連の様子を近くの林の枝から見つめていた私は、これでこの周辺警備から解放されると、胸をなでおろした。
あとは里に帰って火影様に任務終了の報告をすれば急きょお預けをくらったお休みも少しは取る時間があるだろう。
そうしたら、まずはシカマルさんにネイルを……。
わずかに心を弾ませながら手元に視線を落とす。
と、指先は今日幾度か重ねた戦闘で早くも剥がれを見せていた。
あぁ、あんなにキレイだったのに……!
爪の数か所には手裏剣かクナイか、とにかく鋭利な刃でつけられたと思われる傷が刻まれていて、さらには地面や木に手をついた際に汚れたのだろう、泥汚れまで加わり、仕方ないとはわかっていてもしょげる気持ちは隠しようがなかった。
「大名一行は無事里に向かったな」
私の前ではシカマルさんが一行を飲み込んだ道の彼方を見やり、目を眇めている。
「んじゃ、まぁ、俺らも帰るとするか」
肩越しに振り向いたシカマルさんが私の顔を見て、その曇った表情に視線を留めた。
「どうした、名無子?」
スッと手を背後に隠し、私はなるべく感情を消した顔で首を横に振る。
「いえ、なんでも……」
ナイと言い終える前に、ふっとシカマルさんの切れ長のキレイな瞳が横に逸らされ、鋭い光を湛えた。
「まだ、いやがった」
え? と思う間もなく、私たちの周囲を異様な殺気が駆け抜けた。
それは大名一行を追いかけていく敵の襲撃グループのものに他ならない。
「前言撤回。里に帰るのは後だ、まずは奴らを追って押しとどめる。行くぞ」
シカマルさんは堅い声で告げ、迷うことなく足元の枝を蹴りつけた。
to be continued.
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